成功事例
【5】 度肝を抜く発想で再々開発を成功させた三セクホテルの整理とは?
【5】 度肝を抜く発想で再々開発を成功させた三セクホテルの整理とは?
北海道、JR小樽駅前には、第1ビル、第2ビル、第3ビルと再開発の第三セクターのビルが3つありますが、第3ビルには、小樽市民プールのほかに地下1階、地上1~2階と物販や飲食店街になっており、3階以上が大きなバンケットを持ったホテルとなっていました。
ところが、そのホテルは、何年も水道光熱費や管理費を滞納し、遂に破綻してしまいました。第3ビルの要のホテルが破綻すると徐々にテナントにも影響を及ぼし、徐々に管理費などを滞納して退去してしまうテナントや地権者も出てきました。
当社は、このビルを管理する管理会社ですが、管理費及び公共料金の未納金の立替だけでも数億円にも昇り、このままだと当社も連鎖倒産する可能性も出てきました。
そこで、当社は小樽市に相談しましたが、小樽市にはこれらのことに精通した専門家がいなかったので、北海道中小企業総合支援センターを紹介されて、そこへ赴き相談したところ、「こういうことなら名古屋市で経営コンサルタントをしている毛利氏しかいない」と毛利氏を紹介されるに至りました。
そこで、私は資料を前もって宅配便で送り、その後名古屋市まで飛びました。
当初は、「そのままホテルで再生できないか?」を尋ねたかったのですが、いきなり「ここは、黒字になったことはないでしょう」「ホテルとしては無理ですね」と言われるに至りました。
このホテルは3階から10階まで中央部が大きく吹き抜けになっている贅沢な建物のために客室数が少なく、しかもバンケットが広く1000人規模の国際会議もできる仕様になっていますが、バブルの崩壊以降、会議も婚礼も激減していたので、利益がでなかったことが理解できました。
そうなるとビルを壊して再々開発となりますが、ホテルの担保権者の金融機関が、抵当権実行しても競落人が出てこないために回収不能と判断しているので、競売しないままそのまま放置した状態が続いておりました。
毛利氏から「民法には先取特3権という法律があり、そのうち不動産の管理者は、保存行為というのは、抵当権よりも優先権があるので、この権利で競売を実行できる」とアドバイスを受けました。
競売申立後は、自社の管理費の債権で落札し、自社の債権で相殺を申し立てれば、お金はいらないとアドバイスを受けて、当社が競売を申立て、落札者となり、その後物を取り壊して再々開発を実行し、見事新しいビルとして蘇りました。
北海道中小企業総合支援センターから毛利氏の紹介がなければ、今では廃墟になっていたかもしれません。
小樽駅前ビル株式会社
代表取締役 浅村 公二